「人類史のなかの定住革命」読。★★★

人類が何百万年も遊動生活していた理由の一つとして、グループ内での不和や緊張関係の解消の意味もあったという説は、なるほどと思った。
そして定住が始まって以来、現代の人類の緊張関係は解消される兆しすらないというのも、そのとおりだと思った。

定住が始まった理由として、気候変動などを上げているが、そのへんは頭に入らなかった。

最後の方で「安全保障の言語」 「仕事をする言語」というものを持ち出して、
「安全保障の言語」は天気の話や、近況報告、今度呑みに行こうなどの社交辞令でこれはどの民族も一緒で、猿が無駄に長時間毛づくろいしたりするのと同じことで、これを拒否することは、人間関係において緊張を持続させてしまう。

「仕事をする言語」は現代なら会社での今月の売上が下がったとか、家庭での子供の学校の成績の話などとしている。
これは昔、狩りのときのチームワークのための言葉が発達したものだろうという。

現代日本社会ではこの「仕事をする言語」が溢れかえっていて、最後に金属バット殺人事件の話を持ち出して、事件が起きた家庭では「仕事をする言語」しか使われず、常に緊張を強いられたのではないかと言う。

少し強引な気もするけど、数百万年続いた遊動生活と、現代日本核家族の仕事に追われる生活は確かに違う。
数百万年続いた遊動生活が人類の本来の姿で、1万年前に始まった定住革命はいまだに続いているというのは、ああそうだなと思った。

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マット・リドレーの「繁栄」読

★★★
マルサス人口論 レイチェル・カーソンDDT問題、石油枯渇問題、AIDS、SARS鳥インフルエンザ狂牛病遺伝子組み換え作物、水資源問題、地球温暖化等々、これらの問題は常に誇張して報道されてきたという。

報道を通じて人々は一時的にパニックになり、それらをテーマにした本が書店に並ぶ(売れるからだろう)。でも結局一時的なもので、いつの間にか話題に上らなくなる。

今も議論されてる地球温暖化も人類が体験してきたもっと大きい気候の変動なんかに比べると大したことないらしい。

石油も昔からなくなると言われ続けたけど、まだ300年は持つという。
資源はなくなるけど、知識は増え続けなくならない。

そして知識の交配によってイノベーションが生まれ、それもネットのおかげで加速している。

人間は楽観的は馬鹿に見えて、悲観的な方が頭は良く見える。
独裁者なんかが出てきてイノベーションを邪魔することもあるけど、それも一時的なことに過ぎないという。
著者は客観的データから見て、少なく見積もっても人類の繁栄は続くと確信している。

ただ著者の言う通り人類が空前の繁栄を続けても、私の個人的な経済事情はやっぱり働かないと良くならないなあ・・